クールなアフタヌーン

雲ひとつ無い空の下、涼しい風が吹き抜ける気持ちの良い秋晴れの午後だってのにハートのオゾンホールは拡大していくばかりで手を繋ぎながら目の前を通り過ぎる恋人達が放つ有害なウルトラバイオレットがジリジリと照り付けるから乾燥し過ぎてヒビ割れた胸元の水風船からこぼれた体液が床へ広がるように音も立てずに黒い染みがどんどん大きくなってきて堪らず日陰の路地裏に退避したのにここでも番の小鳥達が絵に描いた空のようにメロウな絵空事と解読不能な愛言葉をピーチクパーチクケセラセラと囀ずっているもんだから僕は目を閉じ耳を塞いでただこのある晴れた日の昼下がりがさっさと終わりますようにお願いしたいのにも関わらず請願書の宛先におわす筈の神様も分娩台の傍で目覚めた辺りからどうにもこうにもご不在が続きましてこれじゃ何の為に住民票を移したのかわからないよなんて携帯片手に苦情を入れたりしたものの相変わらず留守番電話にしか繋がらなくて「もういいよ」なんて拗ねてもみるのですけれどかといって殉教する物もねえのにそれが天命と享受するのもそれはそれで癪に障るので既に深爪となっている薬指の爪を前歯でほじくりだす様に噛んで
は今日の晴天を心の底から心底憂いでおるのであります。というしょうもない愚痴をお昼に書いて送信し忘れてました。いや別に誰も求めてはいないと思うけど一応ね、今日もそこそこ生きてますっちゅう出席簿みたいなもんだと思って。あーあしかしタイトルに反して午前になっちまったい。まだお家に着かないっぴー。